僕の彼女は天使様

『この子はケルちゃん。あたしの友達だよ。』


『...こんばんは。』


深い海の底を思わせる、静かな瞳で弟君は私に丁寧に頭を下げられました。


『私、カラオケとバーボンとトイレっ! 』


『なんだよ? また振られたの? いつものコースだな? 』


『うっさい! 』


ぷりぷり怒って秋様は席を外されました。


『すみません、姉が何かご迷惑を掛けたでしょうか? 』


弟君の話し方はどう考えても幼児に話し掛ける言い方ではないですね?


もしや。


『僕と姉貴は両親が再婚どうしだったので血が繋がって無いんです。』


『...はい。』


『僕は...魔界生まれなんです。』


『やはりそうでしたか。』

瞳を伏せて弟君は続けます。


『ケルベロス様とお見受けしますが...。』


『ああ、私は休暇中なのでお構い無く、普通の幼児に接するようにしていただかないと秋様が変に思われますよ? 』