僕の彼女は天使様

『ケルベロスと申します。』


『ける? べろす? ニックネームかな? 』


『いえ...本名でございます。』


暫く私の顔をじっと見詰めていた秋様ですが、ニコッと笑い。


『じゃ...ケルちゃんって呼ぶね? 』


と言われたのです。


なんだかこそばゆいような変な感じですが、特に支障はないので異議は申しませんでした。


『ここだよ? 』


繁華街から少し離れた、小さいけれど趣味の良いバーの扉を秋様が開けます。


『譲(ゆずる)お姉さんだよ~。』


私が一緒に入るとカウンターでグラスを磨いていた.....多分弟君でしょう、他に誰も居ませんでしたから。


その方が私を見て驚いた様に一歩後退りされたのです。