みんなは笑っていた。
なぜか大爆笑していた。
思いっ切り泣いた反動なのかもしれない。

カラオケボックスを出るとみんなと少し離れた場所で啓吾(ケイゴ)と2人になった。
啓吾とは家が近かったため、よく遊んでいた。

「華奈がおらんだら寂しなるやろな」

「私もみんなと別れんの寂しいわ。しかも、あんなことされたら余計別れんの辛くなるし。」

啓吾は少し笑った。

「あはは、そうやろうな。」

啓吾は真顔で私のほうを向いた。

「どうしたん、啓吾?」

「あのさ、俺、ずっと華奈のことが好きやってん」

「はへ?」

私は思わず素頓狂な声を出してしまった。

啓吾は顔を赤らめてみんなのほうへと走っていった。


啓吾が、私を好き?
でも、返事も聞かずに走って行ってしまっということは、ただ自分の気持ちを伝えたかっただけなのかもしれない。
長年一緒にいたので啓吾のだいたいの性格はわかっている。
おそらくそうなのであろう。


私はどうなんだろう。
私は啓吾のことが好きか。

たぶん好きだ。
…でも恋愛としての意味ではなく友達として好きなんだ。

だから啓吾の気持ちには応えられない。
でもきっと啓吾はこうなることがわかっていたんだろう。
長年一緒だしね。


私は微笑んだ。
啓吾、ありがとう。
応えられないけれど、啓吾の気持ちが嬉しかった。