第9話
僕は、胸を撫で下ろしながら声を、かけた。「ごめん、ごめん…」と、ちえみの手話が

早口で、会話する。そして…笑った。僕は、この顔に、弱いんだ。後ろから声がした。

森原君が「おいっ!はよう、花。出さんと…握りつぶれるど!」そう、焦っていた為

花が、握り潰されそうだ!ちえみのお母さんが、「お花貸して、活けてくるね」わざと

席、外してくれた。扉が閉まると、皆それぞれの顔見合わせて、笑った。僕の顔が

何処が、可笑しいのだろうか?その日から、僕は毎日病院に、通った。自分の気持ちの

中にある、わだかまり 取れるまで…通う。こう、決めてた。一緒に居たい。この

気持ち、悟られないように…。日々、やつれて行くちえみ。僕の気持ち、押し潰されそう。

励ます為に、木村君とあけみちゃんを、呼んだ。お腹が目立つ格好で、駆けつけてくれた。

「ちえみ…はよう、退院してな!今度はな、内が入院する番だから…お産してる間内の人

見張っていてな!浮気しないように…なっ!」「おいおい、そうせかすな!少しは、独身気分

あじわせてくれよ!」皆で、噴出すように、笑った。