第5話
病院につくと、木村君の声が、聞えた。「あきらっ!こっち
   

こっちじゃ、」すると、その後ろから「ごめん、ごめんねっ」
   

今にも、泣き崩れるような声で…この後の声が、聞き取れなかった。
   

病室の奥には、おばさん?らしき人が、下を向いてうな垂れてた。
   

今、この事がどう、理解していいか解からずに、病室に入った。
   

そこには、彼女が居た。
   

一杯な、笑顔で笑っていた。僕は、この顔だけで、満足だった。
   

手をかざし、こう言った。「ありがとう、心配して来てくれたんだね
   

ごめんね、皆大げさなんだから…」…と、手話で、話してくれた。
   



覚えたての、手話で僕は、無意識に彼女と話していた。「大丈夫?
   

痛くない?んっ?」すると彼女は、見る見るうちに…笑顔が、泣き顔になっていった。
   

僕の想いが、彼女に通じたのだと思った。その瞬間お互いの存在を、確認した。
   

それから、間もなくして両親が、来た。木村君と、明美が頭を下げてこちらに
   

招き、入れた。その後ろで、木村君はあけみに、優しく声かけてた。
   

肩を一杯震わせてる。その肩を力一杯抱きしめてる。
   



この後、警察、病院と、いろいろ説明聞かされて、頭が混乱した。
   

部屋の中では、僕とちえみだけの時間が流れてた。
   

何も話さず、ただ…手を握っていた。