第4話
僕たちの町は、港町

彼女達とは、隣同士である。港町といっても、何十年も前のことである。

今では、影も形もない。



わたし…、わたしは、”バカ”である。すなわち…この町の高校へは、

行けないのである。私立高校は、一つ二つ向こうの町にしかない。

彼女は、家の都合で、この町にきたらしい。この町は、商店街も多く

大学病院も、あります。これから僕たちは、この町である意味で”天使”に

遭遇することになり。一生の思い出に…なる。



彼女が、”口が聞けない”と、知ってから僕は、勉強家になった。

図書館に、通いずめになった。学校の勉強より、自分の好きな遊びより、僕は…

”手話”の本を、選んだ。もっと、もっと、彼女と話がしたい。…と、

”心が、ざわめきだした。”

毎日、毎日本と睨めっこ。その時、お袋の声がした。「あきらっ!

木村君が、病院。大学病院に、はよう来てくれって」「あきらっ」

呆然とした顔のまま、着の身着のまま飛び出すように、オートバイに、跨った。

どの路を、どのようにして、行ったかは、覚えてない…。