第12話
間もなくして、お母さんが僕達を、手招きした…。

ゆっくりとドアを、開けた。そこには、静かな顔したちえみが、居た。「えっ!?どうして?
   

大丈夫なん…?」「うん!」呼吸器は、彼女が取ってもらったらしい。手探りで、僕を呼んだ!

静かに近ずき、顔を覗きこんだ。僕を見つけると、口を開きこう言った。

「あきら…、ありがと…好き…だよっ♪」「愛してくれて…ありがと…」声の出ない彼女の口から

聞えてきた。聞えた振りなんかじゃあない。ここに居た、皆には聞えてた。

声のならない声、この言葉に命賭けて、言った。”クリスマス、プレゼント”

彼女は、ひとり…逝った。

僕は、たまらずに外へ出て、病院の外庭を歩いた。
   

そして…僕にしか聞えない言葉で、言った言葉。
   

「ねえ、外、歩きたいよ!」

「手、繋いで歩きたい♪…いい?」
   

僕は、涙こらえながら…

泣き声、出さないように…
   

初雪の中、空を仰ぎながら…
   

ふたり、歩いた…