第1話
「愛してくれて、ありがとう」

これが、最後の言葉だった。


僕は、君の声が聞きたい。これが16歳夏の始まりだった。

蒸し暑い夏の電車の中で、笑ってる二人を、見た。

それが、君(森本 ちえみ)と友達(赤沢 あけみ)

の、二人組みだった。


全然、何も不思議な事ではない。ごく、当たり前の

通学風景で、ある。

「おめえ、何を、見てるんじゃあ!降りるどう!

はよう、せい〜、早〜よう」「解かった、解かった!」

僕たちは、走り去るようにして、ホームへ飛び降りた。



振り返ると、彼女達は笑いながら口を開けていた。
   

彼女の口元が「おはよう!」と、僕にはそう見えた。

そして、僕も決まったように笑って答えた。

何気ない毎日が、こうして過ぎていた。

こんな僕の心に”君の声が、聞きたい”と、そう想った。



偶然!
   

映画や、ドラマにしか有り得ない。

この時、既に僕たちは動き始めてた。

何かに…