「えー、今日もそうめんかぁ」

 昼頃、私は、茹で上がったそうめんを冷水で洗っているお母さんの顔を少しにらみながら言った。


 お母さんは気にせず黙々と麺を洗っている。


「そうめんばっか、飽きるなぁー」

 続けて言ってやった。


 
 お母さんは、その麺を器に盛りだした。

 私の言うことなんて気にも留めない。


「ハンバーグとかカレーとか寿司とか、食べたいなぁー」


 いやみったらしく私が言っても、反応なし。


「そうめんなんてこの世からなくなっちゃえばいいのに」


 反応なし。


「この家ってそうめんしかないの?そうめん屋敷じゃん」


 反応なし。


「そうめんしか買えないぐらい、うちってビンボーなんだ」




 その言葉には、さすがのお母さんも、反応した。