「セツ、大胆だねー。そういうのも嫌いじゃないよ」
そして抱きついていた。
しがみつくといった方が正しかったのかもしれない
ただ、小さく泣きながら
私は抱きついていた。
三月も、そう言いながら、ゆっくりと手をまわして、抱き返してきた。
その温かさは
言葉にはできなかった、私たちの足らなかった部分を埋めてくれるように、優しかった。
「好きか嫌いか聞かれれば好きだよ。でも、それが」
「言わなくていいよ、セツ。俺もそう言った。」
「……でも、大事にしたい。三月が、離れていくのは、耐えられない」
「……うん。そだね。俺もセツが離れていくのは、辛いな」
「……私たちって、相当、ゆがんでるのかな」
「愛の形なんて、ひとそれぞれでしょ」
「……いいこと、いうね。」
私たちの絆は
どんどん、濃くなって
どんどん、歪んでいく
それでもいいと
そのなかに幸せを
そのなかに愛を
感じれたのは確かなのだから。
