あの日から、三月から連絡が来なくなった。
それどころか、教室にすら来ない。
姿は見かけるけれど、
前のように私に向って満面の笑顔を向ける事も、
軽口をいう事もなくなった。
その変化に周りはすぐに察知する。別れたのか……とか、
やっぱ付き合ってたのかな、とか。

心に生まれた醜い感情が、大きくなっていって、そして穴をあけた。

胸が張り裂けそうになった。
痛みを感じる事はないのに、どこか痛くて。胸を抑える。

三月なりに気を使っているのだろうか。私が、あんな事を言ったから。


―――自然にさみしいと感じる

―――それは、でも……愛や恋や そんな淡いものじゃない。


「雪南ぁ?どうしたの?」
「え?」

 ただでさえ噂になっていたというのに、
小さな変化はまた新たな噂を呼んで、私は孤立していた。
ただ一人、唯だけが話しかけてくれる。今日も変わらぬ笑顔で私の名前を呼んだ。

「ぼーっとしてるよ?」
「そんなことないよ。」
「倉田クンと喧嘩したの?」
「……ううん」

「ふーん……でも、よかったね。呼び出しないし、
嫌がらせもない、雪南が望んだままになったね」

「望んだまま?」

「うん、望んだまま。嫌だったんでしょ?」

―――……でも、それは、……三月がいて、初めて叶う、望みで。

嘘の笑顔を顔に張り付けて、うなずくと、唯も笑顔になった。
だけど次の言葉は

私の想像を超えるものだった。