「絶対ダメ!!ちょっと休憩」


――はぁ…疲れる。


渋谷君に振り回されてる気がして、芝居に集中できないよ。

ちょっと、他の人の芝居でも見てこよ!


あっ!

中村君だ。


「おりゃゃ~」

「うぐぅっ。くそっ…」


ロミオの親友マキューシオが、殺されるシーン。

迫真の演技に、私だけじゃなく周りのみんなも入り込んでしまった。


「中村君、凄~い!」

女達の黄色い声援が飛び交う。

中村君は、何をやっても上手くこなしてしまうから感心する。

「俺らも負けてらんねぇな」

私の隣で、渋谷君が腕組みをしながら呟いていた。

「そうだね」

この劇を成功させるためにも頑張らなきゃ!