結局、渋谷君は授業に出なかった。サボって帰ったらしい。


放課後の図書館で一人、本の整理をしていた。

ふと窓際の席に目をやる――

中村君?


机に突伏して、スヤスヤ眠っていた。窓から入り込む風が、中村君のサラサラな髪をなびかせていた。

「中村君?」

「………」


やっぱり寝てるみたいだな。

わぁ、まつげ長~い。
本当に、綺麗な顔。これじゃあ、モテるわけだわ。

「中村君……今日は、ありがとね」

中村君の寝顔を見ながら、小さな声で囁いた。


「――あれ?紗織ちゃん?」

背後から声がして、びっくりして振り返った。