後ろから聞こえた声。 「…じゃあね」 有紗は立ち去った。 沙羅はゆっくりと後ろを振りむく。 「…せ…いや…?」 声が震える。 「沙羅…」 胸の鼓動が速くなる。 「久しぶりだね」 久しぶりに聞く愛しい声。 「聖夜っ…!」 沙羅の目には涙がたまっていた。 愛しい人の胸に包まれた。 「…沙羅?」 あなたのにおい。 あなたの温かさ。 何かが切れたかのように沙羅は泣きだした。 「…綺麗になったね」 ただ、二人は抱き合うだけ。 “恋人”としてではなく…。 「う…うっ…聖夜ぁあ…」