【短編】少年A・少女A





「てか犯人は?」



「あぁなんか目撃情報があるみたいだから、早くに捕まるみたいよぉ。」



「へぇーそうなんだ。」





ガサガサ




友達の話に耳を傾けながら、少女はいつもポケットに入っているイチゴ味の棒付きキャンディーを出した。




「あっなんかぁ、噂で聞いたけど、犯人学生らしいよぉ!」



「マジで!同い年ぐらいの奴が殺ったとかありえないんですけど。」




「そうだね。」




少女は相槌を入れながらも、口の中にキャンディーをいれた。口内にはいつものイチゴ味がゆっくり広がる。




少女は優しい笑顔をし続ける。
怖いほどに。




「でも未成年なら名前明かされないんじゃない?」




「マジで?」




「らしいよ。ほら、こないだの政治家が殺された時の犯人も少年Aってされてたし。」




「んじゃ、少年Aか少女Aか…。」




「なんかやな感じぃ〜。あんたもそう思んない?」








少女はくわえているキャンディーを出すと、視線を窓に向け、優しく言った。