【短編】少年A・少女A








「…ねぇねぇニュースでやってたんだけど、すぐそこにある商店街の路地裏で人殺しがあったんだってぇ!」






…―学校。







いつもの学校。







いつもと変わらない窓際の一番後ろの席に少女はいつもと変わらない様子で空を見る。







変わっているといったら少女の顔。
少女の顔は窓の外に輝いている青い青い美しい空と同じように、晴れ晴れとしていた。






「えっマジ?知らなかった〜!ねぇ、あんた見た?」





「ん〜?くわしくはしらないけど…一応その事件は知ってるよ。」





少女の顔に優しい笑顔がさく。




「なんかぁ体に十箇所も刺し傷があってぇ、そのうち二箇所は貫通してたんだってぇ」





「えぇ〜グロー。頭おかしんじゃない?」




少女は無言のまま、ただただ笑顔を絶やさない。






優しい笑顔だった。