【短編】少年A・少女A








なんでだろう。




真上には吸い込まれそうな黒の空が広がっているはずなのに。







なんでだろう。





さっき買ったばかりの新品のナイフのはずなのにもう色がついた。







なんでだろう。





イチゴ味のキャンディーのはずなのに、食べてもいない、食べたこともない鉄の味が口内に広がっている。









なんでだろう。











なんでだろう。










なんで、こんなに世界が赤いのかな?









路地裏。








真っ暗な路地裏。








少女の前にはヒトダッタモノ。





右手には真っ赤なナイフ。






左手は真っ赤でねっとり、鉄の香りがする。









真っ暗な路地裏。









真っ赤な路地裏。








少女は真っ赤な世界で楽しそうに笑った。