「なんで…?」



別れ話を切りだされるとは思ってもみなかった。



「他に好きな人ができた。ごめん。中途半端な気持ちで美優と付き合っちゃいけないって思ったから…」



「…そうなんだ」



私は紀里の真剣な眼差しと紀里らしい答えに納得した。



「じゃあ、その人と…頑張ってね。バイバイっ」



私はそこから逃げた。



紀里のこと、本当に好きだった。



でもなんとか忘れられることができ、今に至るわけだ。



あの時の紀里はさわやかで純粋な人だった。



さっきの紀里は何…?



耳についたピアス。



あのギャルと同じ、派手な服装…。



さわやかさなんてどこかに消えていた…。