私には両親がいない。私をおいて死んじゃったんだ。



交通事故…。



私はまだ3歳の時だった。兄弟もいない、親戚なんか知らない…。身寄りなんてなかった。



それから施設に入って…この様だ。



こんな古びたアパートの家賃さえも払えない。バイトはしてる…けど、自給が安すぎる。



「美優ちゃんにはちゃんとした理由があるだろう!?払いたくても払えないんだから!」



いつもこんな感じ。



いつも峰子さんがかばってくれる。



ここに入居したのは5ヶ月前。最初の2ヶ月はなんとか払えていた。



私に同情してくれて、家に住まないか?とかいう友達もいた。けど、助けてもらおうなんてひとつも思ってない。自分の力でなんとかする。そう決めたんだ。



「言っとくけどねェ、美優ちゃんは私にとっての娘のような大事な子なの!出て行かせたりしないよ!」



…峰子さんは優しい人。私もお母さんのように慕ってきた。



「こんな子を育てた覚えはない」



富雄さんは何を考えてるのかサッパリ分かんない。でも、私は知ってる。



「さっさと出てけ」



…もう迷惑をかけるわけにはいかない。



自分ひとりでなんとかする。



「わかった」



私は自分の部屋へと戻った。