【実話】ありがとう…。

「手!」

そう言って、自分の手を差し出してくる。


「ん?」

不思議に思っていると、私の手を握り歩き出す。


人前では、絶対に手なんか繋がないのに、どうしたの…?


Dルームに着き、座って話をしていたら、

「ここ暑くね?」

たかさんの言う通り、いつもと比べ物にならない位、蒸し暑かった。


「うん、暑い」



「下に行くぞ!」



「いいの?」



「大丈夫だって」

悪戯っ子みたいに、ニヤッと笑いエレベーターに向かって、歩き出す。


急いで後を追いかける。


エレベーターに乗り、1階のホールに降りる。


「涼しいね」



「あぁ」


椅子を見付け、

「たかさん、あそこの椅子に座ろう!」


1階のホールは、もうX'mas一色。

ツリーには沢山の飾り付けがされ、色とりどりの電球が点灯している。


「もうすぐX'masだね。早いなぁー。たかさんと出会ったって言うか、初めてメール来たのがX'masの日だった。懐かしいな…」



「ああ。なぁー」



「んー?」



「看護師に望の事、“連れ”って言ってあるから、かみさんだと思ってるよな。良いよな?」