【実話】ありがとう…。

「感謝してる。俺の気持ちは、変わらない…。もう傍に居てやれないから、望、強くなれ!お前の大好きな『おいで』も…頭、撫でてやる事も出来ないな」



「うっ…ウッ…」


沢山の思い出が蘇り、溢れ出す感情―‐…。


「今まで……ありがとう…」

と言うのが、精一杯だった。


「笑えよ…最後が泣き顔だなんて嫌だぞ!」



「うん…」

そう返事をし、涙でグショグショの顔で、精一杯の笑顔を作る―‐。


「じゃ…送るよ」


帰り道、二人とも話す事は無かった。


ただ窓の景色が通り過ぎて行くのを、見ていた。


いつものコンビニに着いた。


「…ありがとう…」



「じゃぁな…」


車から降り、ドアを閉める。


静かに走り出した車を見送る―‐…。


次々と溢れ落ちる涙で、車は霞んで見えなくなる。


もう…二度とあの車に乗ることは無いんだね―‐。


部屋に戻っても涙は止まってはくれない…。


ベットに横になり、色々な事を思い出した。


辛いことばかりではなかった。


楽しい想い出も沢山有った。


だからこそ、別れが辛かった。


泣き疲れて、いつの間にか眠ってしまっていた。