「本当に、風邪なの?ちゃんと病院行きなよ」



「あー。病院嫌いなの」



「何かあってからじゃ遅いんだよ!」



「気が向いたらな!」

そう言って笑ったよね…。


「少し眠りなよ。薬も効いて来る頃だろうし」


暫くすると規則正しい寝息が聞こえてきた。


安心してボーッとしてるとガチャっと音がし、

「たかー?寝てるのー?」

と声が近付いて、部屋のドアが開いた。


「お邪魔してます」

頭を下げ、挨拶をする。


「たか寝てるの?」

小声で話す。


「さっきまで38・9℃あって、薬飲ませました。少し前に、落ち着いたのか眠ってます」



「そう…悪かったね」



「いえ。お母さんも帰って来たし、私も帰ります」



「ありがと。気を付けて帰ってね」



「はい、お邪魔しました」


たかさんの家を後にした。



本当は、水産業の手伝いしてるって言ってたけど、殆んど手伝いなんてしてなかったんだよね。


たかさんの周りには、一般人じゃないような人達がいつもウロウロしてた―‐。


二人で買い物に出てる時に会った人も、いかにもヤクザって感じの人が多かった。