【実話】ありがとう…。

急いで荷物を鞄に詰め、家を出て、タクシーに乗り込む。


行き先を告げると、車は走り出した。


~15分後~

たかさんの家の前。


一呼吸し、インターホンを鳴らす。

「ピンポーン」



「………」



「ピンポーン」



「………」


返答がない。


「どうしよう…。居ないのかな?」


ドアノブを回してみる。


ガチャっと音がして開いた。


「たかさーん?居ないのー?」


玄関には、たかさんがいつも履いている靴があった。


「お邪魔しまーす」

と部屋へ上がり、たかさんの部屋へ向かう。


「たかさん…寝てるの?」


ベッドに丸まって、静かに寝息をたてている。


傍へ行き、おでこに手を当てると

「んっ…」

目を覚ます。


ボーッとし、焦点が合うまで暫く時間がかかった。


「いつ来た?」



「今、来たばかり。大丈夫?」



「コンッ、コンッ。大した事ない」



「おでこ触ったら熱ありそうだけど、計ったの?」



「計ってねぇ」



「体温計どこ?」



「カラーBOXの中のケース」


ゴソゴソと探し

「はい。計ってね!」

と差し出す。