【実話】ありがとう…。

幸せだったあの日は……もう二度と戻らない―‐…。


「部屋の鍵…返してくれるか?」


鞄の中から鍵の付いたキーホルダーを出し、あっちの部屋の鍵を外した。


「はい…」


無言のまま受け取るあっち。


「送るよ」


首を振る望。


「いい。一人で帰れるから…」



「でも…」



「大丈夫だから…。一人で帰れるから!」


止めるあっちを振り切り、一人車から降りた。


「じゃあね」


精一杯の強がりだった。

これ以上、一緒に居るのは堪えられなかった。


逃げるように走り、人気の無い公園を見付、ベンチに座り、思いっきり声を出して泣いた―‐。




何で…こんな事になるの?


幸せになりたかった。


笑っていた頃に戻りたかっただけなのに…。


たかさん…。

迷惑掛けるつもりはなかったって言ったよね?

なのに、何でまた、あっちの所に行ってるの?


又、私を苦しめるの…?

たかさん入院してた時に、ノートに書いてたよね。


ミホが傍に居てくれるなら、他には何も要らないって。


なのに、私を苦しめるのは何故?


たかさんなんて、大嫌い!


たかさんを嫌いになったのは、たかさん自身のせいだよ!