「ねぇねぇ、健ちゃんの誕生日っていつ?」

「4月3日だよ!ちなみにA型ね。こいつ、ほんっと神経質なんだよなー!」

「嘘っ!?ウチもA型なんだよね!超嬉しー!!」

「……お前ら、さっきから何なんだよ。人が勉強してる側でギャーギャーうるさい。」

「もー、在君のせいで怒られちゃったじゃん!でも、そんな所もかっこいいー!!」



 ――うるさいのはお前だよ、この金髪女。喉から出かかった言葉を飲み込んで、グッと堪える。ここで叫んでしまえば、奴との会話が始まってしまう。そうなれば、余計に疲れるだけだからだ。

 オレが喋らないことは構わないのか、金髪ギャルもとい井上は、ひたすら在にオレのことを聞いている。こいつらのせいで、問題集が進まない。これからは、休み時間の度に図書室にでも行こうかという考えも浮かぶ始末だ。



「ねぇねぇ健ちゃん、何やってんの?」

「……」

「やだー!無視しないでよー!!」

「健、シカトはよくねーぞー?」

「……受験勉強。見れば分かるだろ。」



 それ以降は、“話しかけるな”とばかりに無言の抵抗。在が何も言わなくなったので、井上のやかましい声が耳元でキンキン響くだけになった。やかましいことに、変わりはないけど。