「そういえばお前、彼女とは上手くやってんのか?」

「もっちろーん!美歌(みか)は毎日可愛いよ!!」

「誰もそんなこと聞いてないだろ。」



 放っておくとノロケ始めるので、ピシャリと制止の言葉をかける。在は話したそうにウズウズしていたが、「……いーよ。後でみっくん達に聞いてもらうから」とふてくされてしまった。

 在には星岡美歌という、現在アリス女子高等学校に通う彼女が居る。こいつよりも小柄で、黒髪ストレートの清楚な感じの子。中1から付き合っているんだと聞いた時は、少なからず驚いた。飽き性のこいつにも長続きするものはあるんだな、と。

 オレ達が通う逢坂(おうさか)学園とアリスは、自転車で10分程のとても近い距離にある。放課後、とんでもなくニヤけた顔をした在が愛車(こいつのマイチャリ)で彼女を迎えに行く姿を見かけるのも、そう珍しくない光景なのだ。



「そういえば健、最近眠そうだけど大丈夫?また勉強のしすぎなんじゃねーの?」

「あぁ……ちょっと遅くまで起きて数独雑誌読んでたんだ。」



 答えると、「うげー……出たよ、俺が一生読まねー雑誌!」との返事。思わず小さく笑ってしまった。