制服の上にコートを羽織って登校するようになった頃、真奈瀬と過ごす時間はめっきり減っていた。隣には大体渋沢が張り付いているし、りっことれみちゃんも、ほとんど近付けないみたいだった。



「美隼君、あれどう思う?」

「どうって……本人達が楽しそうだから、割って入るのも悪いかなって思うけど……」

「そうなのよね!でもさ、友達まで引き離す必要なくない?ねぇ、れみだってそう思うよね?」

「私としては、真奈瀬ちゃんを取り合っている内に愛が芽生える、渋沢君と美隼さんのカップリングを推したいのですが……そうも言っていられない状況になってきましたね。」



 この妄想は次のコミケでどうのこうのという言葉が聞こえたけど、何のことかさっぱり分からない。でも今は、この嫌な予感よりも、優先しなきゃいけないことが目の前にある。それをどうにかすることの方が先だと思った。



「渋沢君、真奈瀬ちゃんにベッタリで、まるで付き合いたてのカップルみたいですね。本人達は、交際はしてないって言ってますけど……渋沢君は周りの認識を利用して、その内真奈瀬ちゃんを物にするつもりでしょうね。」

「だよねぇ、やっぱそうだよねぇ……美隼君、早めに手を打たないと、マズいことになるよ。ウチらにもできることがあれば協力するけど、選ぶのは真奈瀬だし、行動しなきゃならないのは美隼君だと思うからさ。」



 頑張ってね、と言われて頷いたけど。この前より親密になっている様子の二人を見ていたら、俺の出る幕はないんじゃないかという気がしてくるのだった。