「まったく音楽に興味がないでしょう」
クスッと笑い、白い歯を出す。
「え……なんで!?」
「目を見れば分かりますよ」
そこでその先生はウィンクをする。
キューピットはまだ俺のハートに矢を撃たない。
「でも……」
「分かってます。野球部の顧問になりたかったのでしょう?」
「えぇえ!?」
全て見抜くこの先生、何者?
俺は冷や汗を出す。
「誰でも急に言われたら無理っていうのは分かります。でもチャレンジしてみたらどうですか?」
「あ………はい……」
するとその先生は、ニッコリ笑う。
「私の名前は、名倉妃芽です」
そう言うと、また職員室に戻っていった。
名倉妃芽?なんだか妃芽って可愛い名前だな。
キーンコーンカーンコーン………
「ヤバい!予鈴だ!」
俺は急いで体育館へと向かう。
名倉先生と話してたからだ……。
俺が体育館へと向かう途中、ある少女にとっつかまった。
「……あー!!」
俺はその声に驚いて、声の場所を見る。
するとその場所に、遊園地の熊の着ぐるみと同じ種類のようなヘンテコな生徒が迫ってきた。
そいつはどでかい眼鏡付けやがって、オレンジ色の髪の毛をして茶色のメッシュを入れている。
いや目がでかいな。
おまけにそこの膨れた部分も…………って俺はどこを見てるんだ!!
「もしかして新しい先生!?」
その子は、ポップでまるで不思議ちゃんのような高い声だ。
なんかこいつは童話で出そうな、派手な妖精だな。
なんか遊園地に居そうな感じ。


