そして教卓の横の机に、各教科の担任が置いてくれた教科書とノートがあった。
これを配れたら、もう家に帰ってもいいんだよな。
そうか、今日は学校初日だったか。
俺は、教科書をどんどん手に取り、端のほうの人に配っていく。
配っても配っても減らなそうな、多い教科書に分厚い教科書。
とくに保健体育が多いな。
……別に興味があるとかじゃなくってね、うん。
生徒皆に教科書を配り終えると、皆は保体の教科書を読み始めた。
「………えっと今日は皆高校三年生初日の学校だったね。僕も今日から、この学校に来て担任して、皆を変えていこうと思うんだ。だから皆……明日からもよろし……「よっしゃ帰れるー!!」
俺の声が潰された。
皆教室を出て行ってしまった。
残ったのは、華宮。
華宮でも静かになって席にちゃんと座ってるのか。
さっきまでの騒ぎ声とは全然違って、陽向のように静かになって大人しくなった。
俺はそんな華宮の横の席に座る。
「で先生、話って何―?」
どうも期待しすぎだ。
目が光ってる。
「神田についてなんだが……」
「え―!?先生ってそんな趣味だったの!?」
華宮は絶望したように頭を大袈裟におさえる。
「は、華宮………違うんだ……」
「じゃあ何?」
頬を膨らませる華宮。
「神田とクラス同じになったことあるか?」
「ずっと一緒―」
これはいいと思った。


