「あったあったー」
俺の声に反応したのか、名倉先生が注目する。
「どうしたんですか?」
クスッと笑う。
「あ、いやっ!!独り言です……」
その男の子の名前は、神田修太。
「ふむふむ…………」
この二人以外は、やっぱり茶髪とか金髪とかで名簿が酷い事になってる。
派手だ。
ギャルすぎて怖い。
ヤンキー髪立ちすぎで怖い。
関わるのはやだって思ってた俺だけど、こいつらは皆生徒。
信じなきゃ教師失格だな……。
すると目に入ったのがあの女、華宮香織だった。
名前と顔がなかなか一致しないなぁ。
「うーん………」
その頃、神田はトイレにいた。
「………くそ…………………くそ………………くそ……………」
ずっと連呼して、ドアを殴ったり蹴ったりしていたり、リストカットをしていた。
トイレの中で血が、たくさんになる。
便器の底の水も一部、一部と赤くなっていく。
同時と涙も出てくる。
でも血を見ると落ち着いてしまう。
ゆっくり涙を拭くが、血が出たところは拭かない。
拭くわけない。
哀れだ……。


