ネコガールの恋

「いいよ、自分で買うから」

と断ろうとするネコガールだったが、

「まあまあ。ちょうど誰かにお金をあげ
 たい気分だったんだよ」

とニッコリする叔父には勝てず、お小遣
いをありがたく受け取った。

改札を通ると、左前方に「怒涛流コーヒ
ー」が見える。ネコ専務は

「じゃあまたね。今度会うのはたぶん
 大晦日かな」

と手を振って去っていった。

ネコ専務! 世界最大級の企業帝国を
日夜指導し、ビジネス界においては名を
知らぬ者のない「現代の英雄」であり
ながら、

楽しいこととのんびりすることが大好き
で、いつも笑顔とユーモアを絶やさず、
驕り高ぶることのない人物。

それは私の仲の良い叔父なのだ!と思う
と、ネコガールの胸にはいつも感動の
ようなものが湧き上がってくるのだ。

遠ざかる叔父の後ろ姿を、ネコガールは
敬愛のこもった、キラキラ輝く瞳で、
見えなくなるまで見送っているので
あった。