ネコガールの恋

「あ・・」

東京は広いので、電車に乗っていて知り
合いに偶然出会うことは、そうそうない。

ネコガールは座席から腰を浮かせ、叔父
に声をかけようとしたが、相手の方が
それより先にネコガールに気づき、
ちょっと驚いた顔になった。

「あれ~? ネコガールじゃないか!
 久しぶりだね!」

「叔父さ~ん、どうしたの、そんなスー
 ツ着て、今日、日曜よ?」

ネコガールの少し高めの声に、空いて
いた車内に座って、本を読んでいたり
目をつぶっていたりしていた数人の
乗客がちらっと目をやるが、すぐに
関心を失って目を伏せる。

「え、もちろん仕事だよ。最近また
 大きなプロジェクトを担当しててね、 
 休日返上さ」

と言いながら、ネコガールの左隣に
座るネコ専務。