ネコガールの恋

ネコガールは、地下鉄南北線に乗って
いた。

日曜日。北区の王子に住んでいるナッツ
とは、午前11時ちょうどに王子駅で
待ち合わせることになっていて、

ネコガールはさきほど、「待ってま~す」
という、ナッツからのうれしそうな電話
をもらったところだ。

飯田橋から乗った地下鉄の車内で、吉本
馬七の恋愛小説「台所」を座って読んで
いたネコガールは、

東大前駅から乗り込んできた一人のビジ
ネスマンの姿を見て目を丸くした。

高価そうな青いスーツをパリッと着こな
して、青と黄色のストライプのネクタイ
を締めたその白猫は、

なんと、世界有数の大企業を指揮する
ビジネス界の英雄であり、ネコガールの
叔父でもある、「ネコ専務」であった!