ネコガールの恋

振り返ったネコガールの、173センチ
の彼女と同じくらいの高さで、シャルト
リューの少年の黄色い目がニッコリと
笑っていた。

やはり美少年だと思う。少年の笑顔を
見たネコガールは、不覚にもちょっと
ドキッとしてしまった。

「あ、東くん? 今、駅の方に向かって
 いたところよ」

「ちょうどよかった。オレらもそうだよ」

夏に海岸で会ったときは黒い学生服を
着ていた東だが、今は私服で、青いフリ
ースに黄色いTシャツを着、Tシャツには
緑の字で「NEXT」と書いてある。

紺色のジーンズに、履いているのは
「内気」(ないき)のシューズだ。

神奈川県の三浦半島の町から、何の用か
は聞いていないが、この土日に東京に
来ていた高校二年生・鬼塚東(おにづか・
あずま)の横には、

その5歳上である姉のナンが立っていた
が、ちょっとぎこちない笑顔をネコガー
ルに向けただけで、

「じゃあ、行こ」

と手振りして、スタスタと歩き出した。