ネコガールの恋

奇妙なカフェを出たあと10分ほど歩い
ていたネコガールは、三軒茶屋の駅が
見える距離まで来ていた。

11月下旬の夕方18時前だから、辺り
はすでにけっこう暗い。

通りは街灯や、建物の電気の光や、車の
ライトで十分明るいが、すれ違う大勢の
ネコたちの目は、暗がりの中でピカピカ
と輝き始めた。

いつものことながら、ネコガールは闇の
中で輝く人々の目が大好きだ。
夢幻のように美しいと思うのである。

「ネコガールさん?」

「え?」

後ろからかけられた男性の声に、振り
返りながら、すでにネコガールには、
それがあの少年の声だと分かっていた。