ネコガールの恋

「ナッツ、あなた、安藤夏子でナッツ
 だったのね」

女の子らしく「便箋に手書き」ではなく、
なぜか初めからパソコンで打ち出して
ある手紙のコピーを読んだネコガール
は、そこで初めてナッツの本名を知った。

そういえば、この家の表札にも「安藤」
と書いてあったのをついでに思い出す。

ネコガールはけっこう人の名前をあだ名
で済ませてしまって、他人の本名に
あまり興味がないタイプなのだ。

ナッツがこうまで心酔している小説の
ネコ専務のモデルは、自分がさっきまで
会っていた自分の叔父である。

もう1分も早く来れば、ナッツも叔父に
会えたのに・・と思うと、ナッツがかわ
いそうに思えてきたネコガール。

言おうか言うまいか少し迷ったあげく、
ネコガールは、自分がネコ専務の姪で
あることをナッツに教えることにした。