正直
今日の部活はかったるいな~

風邪をひいたのかも?
体がだるいし
鼻水がとまらない

鼻の下がひりひりする

私はコートを抜け出すと
加藤先生の座っている横に
腰をおろした

「どうした?」

「風邪をひいたみたいです」

「なら、見学してなさい」

「はい」

加藤先生から
飲み物を手渡されると
コップに入っている水を
一気に飲み干した

今日は男子がうるさい
気合いが入っていると言ったほうが
いいかもしれない

私は隣のコートを使っている男子バスケ部に
目を移動した


海堂彰吾がいる

もう入部したんだ

2,3年生と一緒になって
練習をしていた

コートの外には
女子が群がるように
立っている

「あれって
マネージャ志望?」

私の声に
加藤先生が男子のほうに
視線をやった

「ああ、そうみたいだ
女バスにも欲しいな」

「譲ってくれないかな?」

「志望者が嫌がると思う
女バスには海堂くんがいないし」

「やっぱ
狙いは海堂彰吾か」

「じゃなきゃ
来ないよ」

「モテる男は違うね~」

「俺もモテたいね」

「先生は……無理でしょ」

「木下は?」

「は?」

男バスのコートから
私の目は
先生の顔へと戻ってくる