「なんで起きたの?」

「寒かった」

「そんなに冷え込んでないけど」

「違う」

「は?」

「紫音がいないから」

「え?」

海堂彰吾の言葉に私のぽかんと口を開く

奴は私の顔に気づかないのか
さっさとジャージに着替えると
私に振りかえった

「早く」

「早く?」

「着替えて」

「何で」

「外に行く」

「まだ四時だよ」

「走りに行くから」

「行っておいでよ」

「紫音も」

私のジャージを出すと
海堂彰吾が私に突き出した

相変わらず
単語だけの会話だ

私はジャージを見つめたあと
ため息をついて
着替え始めた

その姿を
海堂彰吾がじっと見ていた

「何?
見たいの?」

「見たい」

「…見るな」

「わかった」

海堂彰吾は私に背中を向けた
素直というか
なんというか…

海堂彰吾の性格がわからない