「そんな風に三人で一緒にいるようになって、中学も誰も受験とか考えなかったから同じだったし、高校はイチが芽衣と同じトコにするって言うからじゃあ私もって、なんか意味もなくイチと張り合っちゃって、現在って感じ。けど楽しいよ、今。三人でも楽しかったけど、ナナが入ってきて、もっと楽しくなった」
最後は照れたのか少し言葉尻が聞き取り辛かったが、七恵にはちゃんと届いた。
うるうると喜びに目を潤ませて七恵が姫華に抱きつく。
「ヒメぇ!!大好き!!」
「あー、はいはい」
「あれぇ?ヒメ照れてる?かっわいー!」
「ちょ、こら、調子乗んな」
じゃれつく七恵を引き剥がすふりをする姫華に、七恵が「で?」と言った。
「で?って…?」
「だから、それでヒメは芽衣のこと大好きになったの?」
「…………いや、うん、まぁ…まだちょっと続きあるけど」
「ふーん。へーえ」
七恵がにまにまと口元を隠して含み笑いをする。
だが、それだけだった。
続きを聞き出そうとするでもなく、すぐにごそごそと姫華のベッドに寝転んで布団を被った。
「なに?寝るの?」
「うん、寝るの」
寝るというのを主張するかのように目を閉じて布団に埋もれた七恵をみて姫華が早いよと苦笑した。
「ねえ、ヒメ…」
「なに?」
「前に壱弥と付き合ってたって、本当?」
一瞬、空気がキンとした。何かを押し殺すみたいに姫華が口を開く。
「……誰から聞いた?」
