ピンクの乳首がつんと上向いて、美味しそうだった。

女の子の乳首というのが一度噛んだら結構はまる感触だという事実を壱弥は知っていて、けれど芽衣の乳首がはたして今まで抱いてきた女の子と同じなのだろうかとも考え、なんとなく違う感触がしそうな気がして、とりあえず指で摘んでみた。

「ぎゃっ!」

飛びのいた芽衣の素早さに、壱弥が笑った。可愛い。本当に可愛くて愛しい。

「芽衣はほんと、可愛いよ」

「……むかつく。エロ太め」

上目遣いで睨んできた芽衣を横目に、壱弥はシャワーを止めて開きっぱなしのドアの取っ手にかけてあったバスタオルを引っ張る。

「はい、拭いて。次俺がシャワー浴びるから」

「浴びる前からびしょびしょだねー」

タオルで頭を拭きながら言う芽衣を小突いて脱衣所に移る。芽衣が後を追って出てきた。
また後ろから腰に抱きつかれ、上体を捻って壱弥が見下ろす。タオルが邪魔してもう裸は見えなかった。

「わたし、よわいね」

「うん?」

「わたし、どうしてこんなに弱いんだろ。強くなるって、約束したのに。強くならなきゃ生きていけないって、知ってるのに。まだ、全然弱いよ」

芽衣は、弱くなんかないよ。
言ってやるのは簡単なのに、そんな言葉じゃ救われないんだと知ってしまってる壱弥に、かけてやれる言葉なんてなかった。

「イチがいなきゃ、生きてけない…」

生きていけない。
告げられた弱々しい声に、必要だと縋る声に、下半身に血が集まるのを感じた。
芽衣の生死を委ねられて、壱弥が欲情した瞬間だった。

芽衣、きっと俺は狂ってる。

嘆きはそっと、心の深くに沈めたままで。
浮上なんて許さない重石をつけて、深く深く沈めたままで。

「俺も、芽衣がいなきゃ生きていけない」

重なった唇はもう、どちらも同じ温度だった。