「あっ…いえ。」
「誰かのお見舞いですか?」
「はい…。」
さすがに精神科に通っているなんて言えなかった。
あたしは女の子の杖を見る。
「足…悪いの?」
女の子は微笑んだまま首を横に振った。
「去年、事故にあって、ここでリハビリしてるんです。」
「じゃあ治るの?」
女の子は嬉しそうにうなずいた。
「実は怪我した当初、治らないと医師に言われてたんです。
でも、私の周りにはあたたかい仲間がたくさんいて寂しくなかったんです。
それで…」
「奇跡が起きたんだね。」
女の子はあたしを見て、頬を赤らめながらゆっくりうなずいた。
「きっとあなたにもそういうあたたかい人が居ますよ。」
そして、小さな声で優しく言った。
「ごっめんよぉ~!受付混んでて…。」
さっきの茶髪の子が手を振って走ってくる。
そして、あたしに紙とペンを渡した。
あたしはスラスラと書き女の子にサインをあげると
その女の子たちは満足したのか笑顔でわたしと別れた。
≪きっとあなたにもそういうあたたかい人が居ますよ≫
その言葉が帰りの電車まで頭に残っていた。



