「うおぉ~い!!南葉ぁ~!!」
ベンチで珍しく部活に出現した監督があたしたちに手を振る。
あたしたちは監督のもとへ走っていくと
ヒカルくんの目の前に2本の割りばしを見せた。
「先が赤のほうは豪華ホテル。
何も塗ってないほうはオンボロホテル。」
あたしは柊先輩を見た。
「春休み合宿の話。」
あ~、もぅそんな時かぁ。
ヒカルくんは楽しそうに選ぶ。
「じゃあ、こっち!」
無邪気に右の割りばしを選んだ。
「じゃあ、左だな。」
久しぶりに顔を見るユキヤくんが口を出した。
「柚木屋くんがそう言うなら左で…。」
「本当に左でいいのか?」
「はい。」
ヒカルくんの代わりにユキヤくんが答えた。
監督はしぶしぶ左手を見せると割りばしの先っぽには
赤く色が塗られていた。
「うっしゃぁ~~!豪華ホテルやぁ~!!」
部員はなぜかヒカルくんを胴上げして喜んでいる。
あたしはユキヤくんになんで左を選んだか聞くと
「なんとなく。」
と言って、部室に入って行ってしまった。
ユキヤくんとはあんまり話した事なかったけど
不思議な子だなぁって思った。
ユキヤくんが居なければこの部活は成り立たなかったって
風の噂で聞いたことがあるけど
ぶっちゃけ練習にもあんまり出ないし疑わしい。
だけど、そんなユキヤくんが関わってくるのは
もう少しあとの話。



