「一応、夢があったんだ。
それは野球ではなかっただけ。
ずっと前、退部届けを顧問に渡すとき
たまたま学校に遅刻してきたユキヤに見られちまったんだ。
俺は野球部全員に俺が部活を辞める理由を告げるつもりだった。
でも、ユキヤは怒鳴って止めた。
『野球部はバカばかりなんだから
野球以外の夢を奴らに話すんじゃねぇ』って。
今でもユキヤの言う通りにして良かったのか分かんねぇけど
オレ自身、野球から学んだ事はたくさんある。
だから、途中まででも野球をやってて良かった。
良い修業になった。」
健太先輩はそのとき今まであまり見せなかった笑顔を見せた。
"ごめん"と"ありがとう"そう言って彼はどこかへ行ってしまった。



