…でも、納得がいかない。
「それでなんでヒカルくんはあたしの事を思い出さないの?」
どうせあんたがわざとあたしのこと言わずに居たんでしょ。
「…そんなの…あたしが聞きたいよ…。」
浅見千尋は顔を伏せ小さな声で言った。
予想外な返答にあたしは戸惑った。
「何回も言った。鈴浦夕実は南葉くんの彼女だって。
それなのに分かってくれない。
…まるであたし自身に言い聞かせてるようで空しかった。」
浅見千尋が母親に怒られた子供のような気が沈む声で言う。
いつもトゲトゲしている人が…。
「バトンタッチするよ…。」
浅見千尋は顔を上げた。
笑っているのか悲しんでいるのか分かんない顔。
でも、その顔を見てあたしは首を振ってしまった。
「いいよ…浅見さんが一緒に居てあげて。
あたしのこと覚えてないならしょうがないから。」
これは遠慮というものか。
病室の来る時のあたしじゃ
考えられない言葉を今あたしは発している。
涙を流しながら。
「あたしもヒカルくんのこと忘れるよ♪」



