「なんで?・・・」
やだ…声が震える…。
「あいつのためだよ。」
彼は静かに笑う。
そんな顔、似合わないよ。
「幸にも話して分かってくれた。
オレと幸は進む道が違うから。」
そんな…そんな…違うから…。
幸は…分かんないよ…
だってこの前、会ったとき幸せそうだったじゃん。
それなのに急に別れる?
幸は一回もそんな素ぶりも顔もしなかったのに。
なんも分かってないよ。
「彼氏失格じゃん。」
涙いっぱいの目であたしは一ノ瀬悠介を睨んだ。
一ノ瀬悠介はフフッと笑う。
「そうかもな。」
なんだよ・・・。
バカじゃん・・・。
「バシッ!」
あたしは彼の頬に平手打ちをした。
ここがイギリスでよかった。
(でも、一応謝っておく。一ノ瀬悠介ファンの方、ごめんなさい。)
「本当は好きなんでしょ?幸せなんでしょ?」
あたしの前で悲しい顔をしないでほしい。
幸せなのに…あたしより幸せを肌で実感しているのに…。
「うううう…。」
涙がこぼれてくる。
怖い…怖いよ…。
どんなに幸せだって
いつかは"別れ"が来てしまう。
でも…でも…なんで…
たどり着くものが"別れ"なの?・・・
しゃがんで泣きじゃくるあたしに
彼は優しく頭を撫でた。
「俺…幸のこと好きだよ…。
でも、それでも…別れが来るんだよ…。」
そう消えてしまいそうな声で言った。



