※〈企み〜5年間の想い〜〉で、祥也が啓輔に送ったメールの内容とその他

祥也side


「じゃんけんして」

 それはもう唐突に。にっこりと綺麗な顔に最上級と言って良いくらいの笑顔を浮かべる千紗は、俺と啓輔の前に現れた。

「「げ……」」

「はやくして」

 その笑顔を崩さないまま、千紗はまるで聞き分けのない小さな子を宥めるかのような口調で、頭を傾ける。

 さすが。校内一の美少女と謳われるくらいはあると思う。

「どっちが負けた?」

 がしり、と音が出そうなほど俺達の手首を掴んだ千紗は、さっきとは打って変わって真剣な声音で聞いた。

「啓輔が負けたよっ。俺は、勝ったからっ!」

 ニッコリと音が出そうなほどわざと笑う千紗は、俺の手首を離し両手で啓輔の腕を掴んだ。

「あ"ぁああっ。逃げねぇから離せよっ!めんどくせえな」

「嫌よ、絶対逃げるでしょ?前科者めっ!」

 ギッと睨み合う二人に肩を竦める俺は「まあまあ」と二人を宥める他ない。

「啓輔残念だったね。 千紗なんか用なんでしょ?」

「祥也暇かしら?なら、手伝ってよ」

 啓輔からやってきた視線にホールドアップ。