なんとなくは気づいてた。 舞希が心から笑っていることに――

 あの事件の後舞希は両親に心配をかけまいと、言われたことはすべて守ってきた。

 だからこそ、アメリカに行ったのも知っている。

 それでも日本に帰りたい、という気持ちが強くて自分の身を守るための技を磨いてきたの。

 その努力だって知ってる。

 だから、日本に戻って来るって知ったとき嬉しくて嬉しくて優衣と1日中泣いたのを覚えているわ。

『………でも、悔しいんでしょう?ジョンは』

『はぁ?』

『あたしたちだけの効果じゃないのよ?舞希の笑顔が綺麗な理由はね』

『…………』

 やはりジョンは気付いていたらしく、すっと目を細めため息をつく。

 リサはリサできゃっきゃっと騒いでるみたいだけど。

『あぁら!舞希ったら可愛いじゃないっ。恋する乙女ねぇ〜』

『…………そうだな』

 やっぱりジョンは。

 リサも知ってるみたいだし、これほどにないチャンスよ、これは。