リサとジョンは顔を見合せ気まずそうな雰囲気を出していて。それが、まるであたしの心当たりを肯定しているようで、腹が立つ。

『はぁー言えないの? 舞希を連れて帰る、とかじゃないわよねえ?』

 高2女子の平均以上、身長163センチのあたしを越すリサやそれ以上の背丈のジョンを睨み上げた。

 4つの碧い瞳は相変わらず真剣な色を隠さず、あたしを見ている。

『………悪いが、そのつもりだ』

「なっ……どうしてっ」

 思わず日本語が出てしまったのは、それだけ衝撃的だったから。
 しっ、と色っぽくあたしの唇にリサの白く細長い人差し指が当たり、開いていた口を閉じた。

『心配しないで。その必要はないわ』

 リサの言葉に弾かれたように顔を上げれば、ふわりと微笑んだ。

『だってよー。あんなに楽しそうな笑顔を見ることができたんだぜ?梨海だって気づいてるんだろ? 舞希がアメリカにいるときと日本にいるときの違いが……。俺たちにはできなかったんだ。 舞希の“本当”の笑顔を取り戻すことが』

『梨海と優衣のこと、舞希は本当に大事に思ってるのよ。あたしたちが5年の時間を費やしてもダメだったことを、あなたたちはたった数ヶ月でできた』

 少し悲しそうに笑うジョンとは対称的に嬉しそうに笑むリサ。