校門前に差し掛かった時、チャイムが鳴った。
「ヤバッ! 急ぐよ藍!!」
「えっ!!」
いきなり華鈴が言って、走り出した。
「待ってよ~!!」
中学の時、陸上部で誰よりも足の速かった華鈴に運動御地な私は、追い着く筈がない…。


階段を上がり、『あと1階!!』と思った所で何かに勢い良くぶつかった。
「きゃっ!」
「大丈夫か? ごめんな…急いでて…」
見上げると、一人の男の子が手を差し伸べていた。
「あっ、私も急いでて…ごめんね…」
そう言い、彼の手を借りて立ち上がった。
「それじゃ、私はこれで…」
私は急いで、階段を駆け上がり、教室に飛び込んだ。

  ガラッ!
「遅れてすみません!!」
ドアを勢い良く開け、大声で言った。
「日高遅刻… 中休み職員室に来なさい。早く席着く!」
「はい…」
担任の先生に言われ、大人しく自分の席に座った。
隣の席は華鈴。
「なんで置いてくのよ!!」
小声で怒鳴った。
「ごめん! ついスピードが上がっちゃって…」
「もういいです!」

そのまま午前の授業を終え、私は職員室へ向かった。