桜色レモン味

 自転車はふらつきながら走る。
「ねぇこれ普通に走った方が速いんじゃないかな」
「いや、もうちょっとしたら下りだから」

 静くんの言った通り、少しすると緩やかな下り坂に入り、自転車はスピードをあげた。
「いやぁぁ速い、揺れてる、きゃあぁぁ!」
「しっかり掴まってろよっ」
 しがみついた静くんの背中はちょっぴり大きくて、しっかりとしていた。